
タコと、ナメタガレイ
年末に、知り合いの漁師・健作さんから連絡があった。
「タコとかナメタガレイ獲れたけど、食べる?」
「もちろん食べます!」
と遠慮なく答え、数時間後、大きな箱にいっぱい入った魚が届く。
健作さんとは、2014年にコーディネーターをつとめさせていただいた「魚ラボ」(八戸市主催)を通じて知り合った。写真家の田附勝さんが、八戸のハマの暮らしを取材・撮影し、最終的に「魚人」と名付けられた田附さんの写真集としてまとめられた。
「八戸は魚がおいしい」「食が豊か」そういって、市内外の多くの人々が称賛するその背景には、影ながら命をかけて海と向き合う漁師たちの仕事がある。
写真家の田附さんとハマの人々を取材する日々は、あまりに濃密で、あまりに衝撃的で、人生観がかわるほどのものだった。
2008年ごろから、こうした「アーティスト×地域」の出会いによって、あたらしい気づきや発見がもたらされるプロジェクトに関わらせてもらっている。デコトラ、横丁、魚、郷土芸能。いずれも、八戸の暮らしや生活文化を色濃く映すものだ。この八戸ならではの事・人と、アーティストを組み合わせて、感動的な発見と人の縁を生み出す。
そういうことをやろうとしている。
アートの効用は、無限大だと思う。即自的にその人の人生を変えるほどの表現もあれば、じんわり時間をかけて、ボディブローのように効いてくるものもあると思う。その両方からアートと地域に関わり、自分自身が発見をし、発信をし、八戸で暮らすことそのものを盛り上げていけたらと思う。
ところで、健作さんからもらった魚は、
こんな感じで料理して美味しくいただいた。
・タラ→タラのフライ、お吸い物、ソテー
・ナメタガレイ→煮つけ
・ヤリイカ→お刺身、焼き
・ヒラメ→お刺身、カルパッチョ、ソテー
健作さんの命と引き換えの仕事によってもたらされた、
貴重な魚たち。泣くほどおいしかった。
海はいちばん寒く厳しい時期に突入する。
それでも淡々と陸で準備をし、朝早くから海へ出る。
船から見る朝日は本当にきれいなんだよね。
自分の技と経験と勘をたよりに突き進むその仕事ぶりは、
それはそれは自由で奔放で創造的。感動する。
海の仕事、そしてそれをおいかけた写真家の田附さんの仕事。ハマの女性たちの仕事。
わたしの中では「魚人」プロジェクトはまだ終了していない。今年は、その続きを形にしてみたい。
つづく
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ナカタ (金曜日, 05 10月 2018 00:10)
冬のナメタカレイは、うちの爺様に言わせれば「煮付けの王様だ」そうだ。その煮付けを料理する際に
使う昆布が,八戸周辺では絶滅の危機だ。僕の住んでいる八戸のお隣階上でも、限られた浜にしか昆布が無い。僕が子供のころ、もう30年も前だけど昆布はそこらじゅうにあった。僕の家から一番近い大蛇の浜には昆布が育たなくなってしまった。地域に根ざした食文化は大変貴重なものだが,守っていくのも困難になってきている。